富士山を見上げて眺めるように描かれているのは西行法師です。平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての僧侶で、歌人でもあります。奥州へと旅に出るその道すがら富士山についての和歌(風になびく富士の煙の空に消えてゆくへも知らぬわが思ひかな)を詠んでいます。
西行法師の視線の先には富士山が見られますが、その手前には大きな松の木があります。吉原宿の手前、松の並木の間から左手側に見える富士山が「左富士」として有名であったことから選ばれたのでしょう。江戸から京に向かう道で自分の左側に富士山が見える場所は二ヶ所しかありませんでした。(もう一ヶ所は南湖の立場です)まるでその場を歩いているかのような臨場感を持たせる演出です。