五代目沢村長十郎が嘉永2年(1849)に演じた『伊達旭盛桜彩幕』の足利三七郎義高だと思われます。『伊達旭盛桜彩幕』は「馬切り」系統の演目で、上演年に出版された足利三七郎義高の浮世絵には「馬切り」らしき場面を描いているものがあります。「馬切り」は寛政6年(1794)初演の『けいせい青陽鶏』の五幕目「泉州堺大和橋の場」の通称です。三七信孝が三千両を積んだ馬を橋の前で待ち伏せて、馬方を斬って、三千両を奪うという筋書きです。
本図の背景は石薬師宿の入口を描いており、歌川広重の蔦屋版東海道を引用しています。また、外題の短冊枠には「馬切り」にちなんで橋と千両箱と思わしきものがあしらわれています。