板元:蔦屋吉蔵
竪絵では、南湖(画中は南期と表記)の松林と、富士山の景色が描かれています。ここから見える富士山は、東海道の左手に見えるため「左富士」と呼ばれ、南湖と吉原宿の二ヶ所のみで見ることの出来る希少な景色でした。
このシリーズが竪型版であるため、一般に竪絵東海道と呼ばれ、広重晩年(59 才)の作品です。
この名所図会シリーズではほとんどの宿場が鳥瞰図(訳注:鳥の目線(空から眺めた)ように描く方法)で描かれ、町並み等に遠近法を用い、この画は表題にもあるように東海道の南湖(現・茅ヶ崎市)の松並木の風景を描いています。
南湖は藤沢宿と平塚宿の間の立場(宿場と宿場の間の休憩場所)のあったところで、京都に向かっていく道中で富士山が左に見える「左富士」の名所の一つでもありました。
(訳注:東海道を京都に向かう際は基本的に右側に富士山が見えるため、珍しい場所とされます。)現在でも鳥井土橋から、きれいな「左富士」を見ることができます。