昭和時代のはじめ頃である1926年、電気冷蔵庫がアメリカから輸入されました。しかし、この時代の電気冷蔵庫は、家が建てられるほどの値段でとても高価なものでした。
それから30年ほどたった1950年代後半、一般家庭でも購入できる価格で家電製品が販売され洗濯機や冷蔵庫、白黒テレビ、掃除機などの家電製品が多くの家庭でも使用されるようになりました。では、それより以前は家電の代わりにどんなものを使って生活していたのでしょう。ひと昔前の生活道具について、一緒に調べていきましょう!
昔の洗濯について調べてみよう!
たらいと洗濯板
左の写真の道具を見たことがありますか?これは「たらい」と「洗濯板」といい、洗濯をするときに使用されていた道具です。たらいは古くから日本で使われていましたが、洗濯板は明治時代に外国から取り入れられたものです。
洗濯板と洗濯石けん(固形石けん)を使って、服の汚れを落としますが、石けんが売り出されるまでは木の実やかまどの灰を水の中にいれてとった「灰汁」を使って汚れを落としていました。
この道具で洗濯をするには、まずバケツ2~3ばいの水を井戸からくんでこなければなりません。水を入れたバケツは重くて運ぶのが大変だったため、井戸のそばにたらいを持っていき、洗濯をしていました。
昔の洗濯は、足で踏んだり、手でもんだり、たたいたりする作業です。次のような手順で洗濯を行います。
- 衣類1枚を手に取り、たらいの中で水につける
- 洗濯板にのせ、石けんをつけてから手でごしごしともんだりこすったりする
- 次の衣類、その次の衣類と洗ってゆく
- 水を替えてすすぎを繰り返す
- すすぎ終わった服を1枚1枚手でしぼる
- さおに通して干す
洗濯機には脱水機能や、乾燥機能があるため、洗濯物が乾くまでにそんなに時間はかかりません。しかし、この時代にそのような便利なものはなかったため、干してから乾くまでに時間がかかりました。また、全て手作業であったこと、一家族の人数が多かったため、とても手がかかる仕事でした。そのため、毎日洗濯するわけにいかず、「汚れたら洗う」という考え方でした。
井戸について調べてみよう!
これは藤沢市の新林公園に建てられている古民家「旧 小池邸」にある井戸です。 水を下からくみ上げるためのおけが2つなわで結び付けられていて、このなわが上の方にある滑車に通されています。1つのおけで水をくみ上げている間、もう1つのおけに水が入り、次から次へと水をくみ上げることができるという仕組みです。このような水くみのしかけを「つるべ」といい、つるべのある井戸を「つるべ井戸」といいます。井戸の水は1年中温度が変わりません。そのため、食べ物が腐りやすい夏は、冷蔵庫の代わりとして井戸の中に食べ物をつるして保管していました。
アイロンはいつから使われるようになったの?
炭火アイロン
今から約150年前の明治時代に、洋服とともにアイロンが外国から取り入れられました。明治時代に取り入れられたアイロンが左の写真です。これは炭火アイロンと言います。炭火アイロンはみなさんのおじいさん、おばあさんが生まれ育った頃まで使われていました。
炭火アイロンには煙突や空気の取り入れ口がついています。止め金をはずして上ぶたを開けると中はからっぽになっています。からっぽになっているところに燃えている炭の火を入れるとアイロンが熱くなります。
炭火アイロンは、温度調整があまりできないだけでなく、炭や火の粉をこぼして衣服をだいなしにすることもありました。
昔の冷蔵庫について調べてみよう!
昔の冷蔵庫は電気コードがなく、氷で冷やしていました。氷の冷蔵庫は主に、大正時代から昭和30年頃まで使われていました。
全体は木の箱になっており、箱の内側はブリキ板でおおわれています。木の箱とブリキ板の間にはコルクがつめてあり、中の温度を保てるようなつくりになっています。この冷蔵庫はドアが2つついていて、上の部屋は氷のブロックをいれておく部屋になっています。氷のブロックを入れておくと、冷たい空気が下の部屋に下りてゆき、中の品物を冷やすことができるという仕組みです。
でも、この冷蔵庫の下の部屋は小さく、中にたくさんの品物をしまっておくことが出来ませんでした。そのため、冷蔵庫で冷やす品物は肉や魚、ビールやサイダーのようなごちそうを冷やしていたそうです。
氷の冷蔵庫
昔の人は道具を手作りしていた?!
昔の道具には竹や木、つるや木の皮、草、わら、土、石などの野山からとれる材料を使って作られているものが多くあります。その中でも竹は細工物の材料としてとても優れた性質を持っています。昔の人たちは野山からとれる材料の性質をうまく生かして生活に必要なさまざまな品物を手仕事で作り出していました。
竹のよさ
- 軽くて弾力がある
- 表面がなめらかで丈夫
- 水切れがよい
- 香りがよく、見た目も美しい
- 筋は通っていて細く割ってもきれい
竹で編んだ昔の道具
だんごすくい
おなべの中でゆでただんごやうどんをすくいとるもの
ごようかご
品物の配達に使うかご。中の品物がこぼれないようになっている
ちゃわんかご
洗った食器を入れておき、水切りして乾かすもの
めかご
クリやウメなどの実を集めたり、洗っておいたりするもの
もっと調べてみよう!
江戸時代の家を見に行こう
藤沢市にある新林公園には、江戸時代に建てられ、1983年に移築された古民家 旧 小池邸があります。旧 小池邸は市指定重要文化財となっています。
外観だけでなく家の中に入って、昔の家のつくりや様子を見学することができますのでぜひ行ってみましょう!