資料名 |
江島記行 下宮 |
作者 |
魚屋北渓 |
時代 |
日本 江戸 天保 |
解説 |
制作時期:天保初期。 板元印なし 江島記行は江の島に関する風物を描いた、揃物の摺物です。摺物とは、狂歌(狂歌→諧謔的な31文字で作られる詩)と歌に関する挿絵が描かれた版画作品です。狂歌師達によって作られた私家版の印刷物のため、採算を取ることが前提の売り物の浮世絵とは異なり、小さい画面の内にも繊細な彫りや摺り等の高い技術がふんだんに用いられていることが特徴です。 本作は画中に16枚続きの記載 がありますが、現在発見されているものは14点で、「高輪ふり出し」「鮫州」「大森」「蒲田」「六郷」「鶴見」「神奈川」「浜川」「下宮」「上宮」「本宮」「兒ヶ淵(稚児ヶ淵)」「俎岩」「竜洞」で、狂歌連(狂歌のグループ)が江の島旅行へ行った際に、記念として制作されたものと考えられています。 挿絵を担当した魚屋北渓は北斎の門人の一人で、摺物では北斎をしのぐ技巧をもつと評価されるほど、狂歌関連の作品を得意とした絵師です。 魚屋とかいて「ととや」と読みますが、それは四谷鮫が橋で魚商をしていたので、魚屋北渓といわれるようになったといいます。また一説には松平志摩守出入の魚屋であったともいわれています。 この作品は豪華で、奉納された額には亀と川が描かれていますが、亀は江の島が金亀山といわれるように甲羅に金泥が使用され、川の流れを示す線には銀泥が用いられています。そしてこの額の絵は様式からして琳派風であり、酒井抱一のそれを連想させます。また右の三宝に乗った二つの瓶子には銀泥が施され、奉書紙は空摺りになっており、狂歌「ひきわたす霞に風のつよからぱ波さえ花の香に匂ひけり」如水子春時。「はつ巳の日むつまじ月のみきひらき万字巴にくくる土箸」万里亭弘麿。「春来ぬといそいてふりつみし雪よりやがてはなのあけほの」森総亭山松とあります。 |
サイズ |
角判摺物縦1枚 縦21.3 横18.0 |
分類 |
浮世絵 その他 戯画・判じ物 |
資料番号 |
10014 |