『菅原伝授手習鑑』において、菅丞相とは菅原道真のことです。菅丞相は大変聡明で周囲から尊敬されていましたが、菅丞相の養女・苅屋姫と帝の弟・斎世親王が逢引していたことを利用され、藤原時平によって失脚させられます。ほかにも、演目中には流罪が決まる前夜に菅丞相が殺されかけた時には、自ら彫った木像が身替りとなり助かった話など、モデルである菅原道真に関する逸話が盛り込まれています。
似顔で描かれた役者は、余生を京から江戸へ移り書や茶道を嗜んだ三代目坂東彦三郎で、背景には京と大津宿のあいだである大谷村が描かれています。
これは『役者見立東海道五十三駅』というシリーズです。
このシリーズは、全部で一四〇点確認されています。
作者は三代豊国、とても人気の高かった絵師です。
背景には宿場の風景が描かれており、手前の人物は、宿場と関わりのある歌舞伎の登場人物です。
また人物は、有名な役者の似顔絵で描かれています。
