白:役名未詳
白地に絣の着物を着た美人が描かれています。役名は未詳ですが、髪型から芸者であると考えられ、屋根舟の後方に立ち、扇子を口にくわえながら帯を直すという仕草で描かれています。
空には満月がさえざえと輝き、その下に見える橋は、竹材問屋が見えることから江戸の京橋と思われます。
五行説において重要な色とされていた「黄」「青」「赤」「白」「黒」の5色に、それぞれ美人が当てはめて描かれています。またこの美人たちは、歌舞伎の登場人物に擬えて描かれており、各色は、その役が決まって着る衣装の色と対応しています。
「青」に描かれているのは、小栗判官ものの物語に登場する照手姫。小栗判官は藤沢の遊行寺とゆかりのある人物で、照手姫は小栗判官の恋人です。