No.33とNo.34は背景が続きになっており、雪中の矢作川に掛かる矢作橋が描かれます。矢作橋の奥に見えるのは、徳川家康の生まれた岡崎城です。手前の人物は『伊賀越道中双六』に登場する唐木政右衛門と、その女房のお谷です。ここでは雪の降りしきる中、乳飲み子を抱えてお谷が政右衛門の元を訪れる「岡崎の段」の様子が描かれています。政右衛門には四代目中村歌右衛門、お谷には四代目尾上梅幸という人気役者が当てられています。
これは『役者見立東海道五十三駅』というシリーズです。
このシリーズは、全部で一四〇点確認されています。
作者は三代豊国、とても人気の高かった絵師です。
背景には宿場の風景が描かれており、手前の人物は、宿場と関わりのある歌舞伎の登場人物です。
また人物は、有名な役者の似顔絵で描かれています。