製作時期:享和4年(=文化元年,1804)。
板元印なし
北斎の東海道五十三次シリーズは大判のものは皆無で、大半は小判横ですが、景観描写に主眼を置いた初代広重の作品に対し、旅や各宿駅の風俗が主眼となっていて、独特の味わいを感じさせます。
板行当初は狂歌グループによって出板された『春興五十三駄之内』と題した摺物で、右側に狂歌が刷られていました。画面は江の島詣の女性2人と従者が、ちょうど藤沢宿にあった一ノ鳥居をくぐったところです。
標柱に「これよりゑのしま道」「享和四甲子年正月吉日 藤沢宿」とあって、この年号からこのシリーズの制作年代が判明しています。