これは『役者見立東海道五十三駅』というシリーズです。
この作品の背景には、広々とした駿河湾と、そこに浮かぶ帆掛け舟が描かれています。手前の人物は『碁太平記白石噺』の登場人物しのぶで、しのぶは父の仇を討つために姉の宮城野と共に由井民部之助(作品番12)の元で修行し、金江谷五郎(作品番号10)の助太刀によって仇討ちを遂げます。しのぶを演じる役者は三代目岩井粂三郎で、美貌により多くの人気を集めました。
このシリーズは、全部で一四〇点確認されています。
作者は三代豊国、とても人気の高かった絵師です。
背景には宿場の風景が描かれており、手前の人物は、宿場と関わりのある歌舞伎の登場人物です。
また人物は、有名な役者の似顔絵で描かれています 。