製作時期:天保3年(1832)~天保4年(1833)。
板元:保永堂
広重には東海道の風景を描いたシリーズがいくつもあり、このシリーズは一般に板元の名から保永堂版東海道と呼ばれています。構図の良さや着眼点が受けて、広重最高傑作シリーズとして大ヒットし、以後風景画の第一人者と呼ばれるようになりました。図は藤沢宿にあった江の島一ノ鳥居を遊行寺を背景にして描いたもので、鳥居の後ろに架かる橋は大鋸橋 (現遊行寺橋)です。
橋の上で大きな木太刀を持った人たちは大山詣(雨降神社に太刀を奉納する)、手前、鳥居をくぐろうとしている杖をついた人たちは江の島詣(杉山検校の故事にあやかって目の不自由な人たちの参詣が盛んだった)で、藤沢宿が両地への参詣者で賑わっていたことを示しています。