「かゐこやしなひ草」は、勝川春章と北尾重政が描いた12枚1組の揃物で、それぞれが6枚ずつ担当しています。蚕を育て、生糸を取って、絹糸を作り、製品化して売るまでの様子を描いたもので、四番目の作品です。
画面上部には、「蚕の四度目の休みを大ねむりといいます。じきに起きる頃合いを見計らって、次の用意をしています」と場面の説明が書かれています。
蚕は、四回脱皮をしますが、脱皮の間は動かなくなるので、それを「眠」といいます。この場面は、四回目の脱皮(四眠)の様子を描いています。四回脱皮をした蚕は大きく育ち、繭を作ります。
勝川春章は、宮川春水、高崇谷に学び、版画、版本挿絵、肉筆浮世絵で活躍しました。特に役者絵では、従来の鳥居派の描法から離れ、写実的な役者似顔を描き、好評を得ました。