製作時期:天保10年頃(1833)。
板元:佐野喜(佐野屋喜兵衛)
背景は広重の保永堂版東海道「嶋田 大井川駿岸」の構図を用いています。
大井川は島田宿(駿河国)と金谷宿(遠江国)の間を流れる大河で、「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」と唄われたように、増水時の川留めも多く東海道中の難所のひとつでした。川岸には、川越えの準備をする人々の様子が描かれています。
手前の女性は「法橋光琳」(尾形光琳)の落款のある小屏風を背に文を読んで、物思いにふけっているところのようです。
国貞(三代豊国の前名)描くこの東海道シリーズは、各宿の風景をバックにして前面に立ち姿の美人を描いたもので、全シリーズを通し、バックの風景画は広重の保永堂版東海道に非常によく似ています。