『恋女房染分手綱』の関の小万を描いています。当てられた役者は本図出版時には故人であった七代目岩井半四郎です。小万は京祇園の芸子でしたが、勘当されて馬方(馬をひいて人や荷物を運ぶことを職業とした人。となった伊達与作を追って、関宿の宿場女になります。
背景は歌川広重の蔦屋版東海道を引用しています。東海道をすすむ行列が、一里塚の横を通り過ぎる場面を描いています。一里塚とは、街道の両脇に一里(約3.9km)ごとの目印として設置された塚で、榎や松などが植えられました。
これは『役者見立東海道五十三駅』というシリーズです。
このシリーズは、全部で一四〇点確認されています。
作者は三代豊国、とても人気の高かった絵師です。
背景には宿場の風景が描かれており、手前の人物は、宿場と関わりのある歌舞伎の登場人物です。
また人物は、有名な役者の似顔絵で描かれています。