制作時期:明治25年(1892)7月1日出版。
画作兼発行人:矢島知三郎
画題「弁天娘」とあるとおり、遠景の富士と江の島を左肩越に見せて窓辺に座る芸伎を弁財天に見立てた作品です。
髪を島田に結い扇子を広げて後を見返る年若い娘の肩には肩あげがあります。場所は片瀬東浜あたりの茶屋の二階から見た風景と思われます。
この石版画は墨一色で刷り、後から手彩色した作品で、明治15年から25年(1882-1892年)頃にかけて流行した額絵の一種と思われます。額絵は平均的に44.7×37.0cmの西洋紙を使い、35.0×27.0cm程度の画面に貴顕や美人、風景、風俗、歴史、小児等を画題として墨一色で印刷し、後で手彩色したもので、一部色刷りするものもあったと言われます。