板元:鶴屋金助
七里ガ浜を歩く人々を描いています。江の島の道中を描いた作品において、旅人は女性で、男性は荷担ぎや駕籠かきとして描かれることが多く、本作もその形式となっています。これについては、浮世絵ならではの美化が働いているものとも考えられますが、実際に江の島が女性に人気の観光名所であったことも示しているのでしょう。
遠景の江の島には幟が見え、弁才天の開帳を示しています。文政10年(1827)には春より夏にかけて上之宮弁才天で開帳があり、「江戸より参詣多し」という記録があることから、制作年代もこの頃であると思われます。