製作時期:慶応3年(1867)。
板元:伊勢鉄
ちりめん絵は一見小さな錦絵のように見えますが、実は和紙に摺った普通の大きさの錦絵を、棒に巻きつけ縮めて作ったものです。
近くで見ると、ちりめんに似た細かい皺があります。ちりめん絵は外国向けのものとして量産され、クレープ・ジャポン(ちりめん織をフランス語でクレープと呼ぶ)、略してクレポンと呼ばれました。
当時は比較的安価に買えたものであったらしく、画家のゴッホもちりめん絵を多く集めていたとされます。
人気歌舞伎役者をゆかりの宿場を背景に描いたシリーズ。「一眼(目)千両」とは、一目見ただけで千両という大金を払う価値があるというたとえです。
上部の風景を二代広重、下部の人物を国周が分担して画いています。
人物は白波五人男の一人で江の島(藤沢)ゆかりの弁天小僧菊之助で、扮するは四代市村家橘(のちの五代尾上菊五郎)です。画は女装した弁天小僧が見栄を切って、有名な「知らざあ言って聞かせやしょう」のセリフを言おうというところ。
背景の藤沢宿の風景は、初代広重の保永堂版東海道の構図を使っています。右上の文章は戯作者の山々亭有人が書いています。