製作時期:安政2年(1855)。
板元:蔦屋吉蔵
鞠子宿内の様子が描かれています。鞠子はとろろ汁で有名な宿場でした。両側に続く茶屋には「とろろ汁」の看板がいくつもかかっています。左手前の店先で客がとろろ汁をすすっています。また茶屋の壁には浮世絵と思われる絵画が飾ってあり、当時浮世絵が一般的に普及していたことが伺える作品でもあります。
このシリーズが竪型版であるため、一般に竪絵東海道と呼ばれ、広重晩年(59 才)の作品です。広重の東海道ものは大体において、横型の風景画が多いなかで、竪型物もいくつかあります。この名所図会シリーズではほとんどの宿が鳥瞰図で描かれ、町並み等に遠近法を用い、横判では見られない雰囲気をかもし出しています。