富士山の五合目から頂上までが、俯瞰的な構図で画面いっぱいに描かれています。ごつごつとした茶色の岩肌で富士山を表現している点が特徴的で、登山道には富士講の人々の姿が細かく描き込まれています。また、主だった地点や名所なども事細かに記されており、富士登山の案内図としての役割も兼ね備えていました。
本作は、画中に「登山成就時玉蘭斎貞秀写」とあり、絵師の実体験を載せた文章が挿入されている点が珍しいとされています。一説には、本作は貞秀の富士初登山の際に描かれたと言われており、富士山の山頂から見下ろした景色に感動した体験が反映されているのかもしれません。