製作時期:天保10年頃(1839)。
板元:佐野喜(佐野屋喜兵衛)
背景は広重の保永堂版東海道「池鯉鮒 首夏馬市」の構図を用いています。
首夏とは陰暦4月のことで、この時期に行われたていた馬市のようすが描かれています。
手前の女性は、竹かごを背負って熊手を持つという秣集めの装いですが、当時このように振り袖姿で作業をしていたわけではなく、美人画に彩りを持たせるための国貞の演出であろうと思われます。
国貞(三代豊国の前名)描くこの東海道シリーズは、各宿の風景をバックにして前面に立ち姿の美人を描いたもので、全シリーズを通し、バックの風景画は広重の保永堂版東海道に非常によく似ています。