製作時期:天保10年頃(1839)。
板元:佐野喜(佐野屋喜兵衛)
背景は、広重の代表的な作品として知られる保永堂版東海道の「蒲原 夜之雪」をほぼ忠実に写しています。蒲原は太平洋に近く温暖な気候のため通常は雪のあまり降らない所ですが、広重はあえて雪景色で描き、蒲原を静謐な印象を持つ作品として仕上げました。
手前に描かれた牛に乗る女性は、下げ髪で頭頂部を剃髪しているようにも見えますが、残念ながら元となったイメージや蒲原宿との関連性は不明です。
国貞(三代豊国の前名)描くこの東海道シリーズは、各宿の風景をバックにして前面に立ち姿の美人を描いたもので、全シリーズを通し、バックの風景画は広重の保永堂版東海道に非常によく似ています。