製作時期:天保4年頃(1833)。
板元:佐野喜(佐野屋喜兵衛)
背景は広重の保永堂版東海道「御油 旅人留女」の構図を用いています。
御油宿から次の赤坂宿までは十六町(約1.7km)しか離れていなかったので、宿泊客の奪い合いが激しかったそうです。
画中でも、旅籠の留女が、旅人の腕や荷物を強引に引っ張っている様子が見られます。
手前の女性は、着物を小脇に抱え、手ぬぐいで汗をぬぐっている様子から、湯屋の帰り道と思われます。
国貞(三代豊国の前名)描くこの東海道シリーズは、各宿の風景をバックにして前面に立ち姿の美人を描いたもので、全シリーズを通し、バックの風景画は広重の保永堂版東海道に非常によく似ています。