製作時期:安政2年(1855)。
板元:蔦屋吉蔵
関宿の東のはずれには伊勢参宮街道への追分がありました。この画はその追分を描いています。
画面手前を斜めに走る平坦な道が東海道で、中央の鳥居から参宮街道へと分かれます。この鳥居から伊勢神宮の外宮(げくう)までは十四里(約56km)でした。
画面上部に広がる空に、群れをなして飛ぶ鳥の姿が、また縦の空間に奥行きをもたせています。
このシリーズが竪型版であるため、一般に竪絵東海道と呼ばれ、広重晩年(59才)の作品です。
広重の東海道ものは大体において、横型の風景画が多いなかで、竪型物もいくつかあります。この名所図会シリーズではほとんどの宿が鳥瞰図で描かれ、町並み等に遠近法を用い、横判では見られない雰囲気をかもし出しています。