製作時期:万延元年(1860)
板元:當世屋(品川屋久助)
「坂は照る照る、鈴鹿は曇る、あいの土山雨が降る」と唄われほど雨の多いところであった土山を、弥次喜多の二人はうつむき加減で黙々と歩いているように見えます。いつもふざけてばかりの二人でも落ち込むこともあるのでしょうか。いいえ、どうやら、相変わらず冗談を言い合っているようです。
このシリーズは大ヒットした十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を摸して作られています。各宿には弥次さん、北さんが登場し、芳幾が二人のくりひろげる道中模様をユーモラスに描き、魯文が各宿のテーマとなる文章、狂歌一句と二人の会話をおもしろおかしく記しています。