繪図屋善兵衛
文化5年(1808)
この絵図は、江の島の入り口に「絵図屋」の屋号のお店が販売していた島の案内図です。当時の参詣者の島内観光のために売られていました。
画面右に江の島の北側(入口)にあたる箇所を配しており、本来なら画中には見えない位置にある南側の岩屋などが画面左に展開されて描かれ、江の島全体を画中で一望できるような立体的な構図となっています。No.23やNo.25と比べると、江の島の形が異なりますが、No.25と同様に富士山が画中右側に描かれています。さらに、富士山の手前には現茅ヶ崎海岸の沖合にある「烏帽子岩」が描かれています。
図の右上には版元の店先が寛政7年(1795)に火事に遭い、版木が消滅した記述が書かれており、こちらの絵図その後、彫りなおされた版木で摺り増しされたものです。左下には「えのしま入口左がは かど」と版元の住所が記されています。版元の「絵図屋」は、現在も同地で土産物屋を営んでいます。