作画期が短かった二代歌川豊国の最高傑作と呼ばれる「名勝八景」シリーズのひとつです。雨の表現が特徴的で、背景の大山のシルエットを分断することで、風雨の激しさを感じさせる巧みな構成です。よく見れば急峻に描かれた石段を上る大山詣(まい)りの人物が描かれており、奉納太刀を担いでいる人も見えます。
※大山詣り 現・神奈川県伊勢原市の大山に祀られる石(せき)尊大(そんだい)権現(ごんげん)(大山阿(あ)夫(ふ)利(り)神社)へ参拝すること。江戸時代に隆盛し、歌舞伎の外題や落語にも多く残され往時の人気の高さがうかがえる。