江戸・辻岡屋文助版 慶応元年(1865年)
たて72.0 よこ61.0
徳川将軍家茂の上洛(京都へ行くこと)を機に、これを題材としたいくつもの五十三次浮世絵シリーズが発行されました。これらは「御上洛東海道」「行列東海道」などと呼ばれ、爆発的な売れ行きで多くの版を重ね、当時の庶民の幕末の状況に対する関心の高さを物語っています。
絵師の歌川(橋本)貞秀は、鳥瞰的な視点から描いた浮世絵で有名な画家で、この「行列双六」もその本領を発揮したものと言えましょう。振り出しの「第一 江戸」を出発した行列は、さまざまな幟や旗、吹き流しなどを立てて「上がり」の京へ向かっていますが、この図では、さらに伏見・淀・八幡といった大坂までの大坂街道(京街道)の宿次も描き込まれていて、「一ツ余れば 伏見、二ツ 〃 よど、三ツ 〃 八はた、四ツ 〃 大坂」と記されています。