製作時期:万延元年(1860)。
板元:當世屋(品川屋久助)
藤沢宿の旅籠で、二人は狐拳に興じています。狐拳とは、じゃんけんに似た遊戯で、狐・庄屋・猟師の形をとります。画中では、右の弥次さんは「狐」(手を頭の横に置く)、左の喜多さんは「猟師」(鉄砲をかまえる仕草)なので、この場合は喜多さんの勝ちです。
このシリーズは大ヒットした十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を摸して作られています。各宿には弥次さん、喜多さんが登場し、芳幾が二人のくりひろげる道中模様をユーモラスに描き、魯文が各宿のテーマとなる文章、狂歌一句と二人の会話をおもしろおかしく記しています。