製作時期:文久3年(1863)。
板元:越平(越村屋平助
空は黒い雲で覆われ、雨が激しく降る中、興津川の川辺を
行列が通り過ぎています。行列の人々は蓑を身に着けています。
先払いと思われる帯刀した蓑姿の2人が、見物する人を追いかけています。
画中に記されている「惺々周麿」とは、暁斎の画号の一つです。
文久3年(1863)の十四代将軍家茂の上洛を意識して出版された東海道シリーズで「上洛東海道」と言われているものです。
このシリーズは、どの作品にも武士の姿や大名行列が描かれています。東海道の宿場だけではなく、街道筋の名所も取り上げているため、150枚を越える膨大な揃い物となっています。描いている絵師も三代歌川豊国、二代広重をはじめ、十数名を越える当時の売れっ子絵師が分担して描いています。