泥絵 縦31.7 横45.2
制作時期:不明。落款なし
泥絵には初期のものに落款のあるものがありますが、量産されるようになった天保期以後のものには無落款のものがほとんどです。泥絵とは、絵として鑑賞するものではなく、のぞき眼鏡やのぞきからくりのレンズを通して新奇の世界を覗くことに主題があり、絵の上手・下手はあまり問題にされなかったようです。また、泥絵の特徴としてあげられるものに、青の色彩があります。これはオランダ渡りのペレインブラーワで、1704年に化学者ディッペルが創製した色素で、その地名からプロシャの青、ペルリンの青と呼ばれ日本ではこれをベロ藍またはベロリン藍となまって使用されます。このあざやかな青は文政以後浮世絵版画にも使用されるようになります。左右逆影に描かれており、のぞき眼鏡用に制作されたものであることがわかります。