蘭香堂 萬屋太治右衛門蔵版
狂歌師のグループ構成や、採点の仕方、印章、選者の好みや、高得点の狂歌などを記した狂歌壇をひもとく指南書の一種です。觹はくじりとも読み、和書などの糸綴じ本のひもを外すときに使用される道具のことです。選者として、四方真顔など著名な狂歌師が名を連ねています。また曲亭馬琴や山東京伝、そして編者の三馬自身の名もあります。選者の一人に相模、藤沢地域の狂歌連の師系になる森羅亭万象の名前も見られます。取次店を指す売弘書林の欄には、蔦屋重三郎の名前も記載されています。
編者の式亭三馬は、銭湯や髪結い集う人々の日常を活写した代表作「浮世風呂」や「浮世床」の作者として有名です。また大田南畝が編纂したといわれる「浮世絵類考」を追補したことでも知られます。