十二枚揃の最後の作品で、機織り(はたおり)の様子が描かれています。織機に座る髪を下した女性が、手足を使って絹を織っており、右手には杼(ひ)を手にしています。
本作は二枚続の作品のうちの一枚で、もう一枚には養蚕と日本が古くから結びついていたとする歴史について記されています。
(上部詞書)
「蚕の神を祭る事ハむかし 軻遇突智(かぐつち)埴山姫(はにやまひめ)に逢いて 雅産霊(わかむすび)を産 此神の頭に蚕と桑となれり 故に 日本にてハ雅産霊を祭るへきものか 人皇二十二代 雄略天皇 乃 御后 みつから養蚕し給ふ 唐土にてハ黄帝の后 西綾氏を始とする也」