製作時期安政元年(1854)。
板元:丸久(丸屋久四郎)
このシリーズは広重と豊国との双筆(合作、描き分け)になる東海道続ものです。
各絵の上部の宿駅の風景を広重が描き、その下に各宿に関係のある人物を豊国が描いていますが、二人の代表的浮世絵師がそれぞれ、得意とする分野を分担している人気の高いシリーズでした。
描かれている人物は小栗判官伝説の主人公の一人、照天姫で、地獄からよみがえって土車で熊野まで送られた夫の小栗を、車の綱を引いて運んだという話がこの絵の題材です。
この話は当時有名なものでしたので、特に解説をしないでも、街道で車を引く女性というだけで照天姫だと分かったものでしょう。
上半部の風景は宿場からは少し離れた南湖の松林で、熊野までの長い道のりを暗示しているようです。