No.40の関の小まんと同じく『恋女房染分手綱』に登場する伊達の与作が描かれています。当てられた役者は本図出版時には故人であった三代目沢村宗十郎です。与作は丹波国の大名由留木家の家臣でしたが、敵役の鷲塚官大夫によって腰元重の井との不義密通が公にされたため、勘当されて馬方になります。しかし、物語の最後には官大夫を討ち果たし、由留木家に帰参します。
これは『役者見立東海道五十三駅』というシリーズです。
このシリーズは、全部で一四〇点確認されています。
作者は三代豊国、とても人気の高かった絵師です。
背景には宿場の風景が描かれており、手前の人物は、宿場と関わりのある歌舞伎の登場人物です。
また人物は、有名な役者の似顔絵で描かれています。