制作時期:享和年間(1801~04)頃。
板元:鶴新
この作品は1月から12月までの12枚揃で制作されたもののうちの1枚で、表題はすべて同じです。12枚全部は確認されず、現在わかっているものは、「陬月〔正月〕)の大神楽」「睦月(むつき〔正月〕)の女郎買」「皐月(〔5月〕)の肴売」「水無月(〔6月〕)の水売」「初秋の多満祭」「名月の遊興」「霜月(〔11月〕)の神詣」「玄英 (冬の別名)の雑司谷」の9点です。
この作品は商家の女房が伴の若者を連れて江の島詣に出かける姿を描いたもので、菅笠をかぶり黒襟のコートを着て手甲をした女房と天秤で荷物を振り分けて肩にかけた従者の姿は、当時の近場の旅の典型的なスタイルです。この作品は他に所有されているところは少なく、多少補色した部分が見うけられますが、貴重な資料であるといえます。